不具合の症状
- ジェネレーターからシューシュー音はするけど燃焼しない。
- 着火するけど、いつまで経っても火だるまのまま。
- 燃焼はするけど、いくらポンピングしても火力が弱い。
これら上記の症状はショップにお問い合わせいただく、ランタンやストーブの動作不良ランキングトップ3です。
うまく燃焼しないランタンやストーブでお困りの方は、読み進めてみてください。
フューエルチューブの構造がわかれば、原因の特定は意外と簡単だったりします。
フューエルチューブの外観
上の写真はコールマン222、ピークワンランタンのフューエルチューブ。
レストア前の中古ランタンから取り外したものです。
コールマンランタンやストーブのフューエルチューブは、同じ品番でも製造年代によって微妙に形が変わったりします。
下の写真はモデル502ストーブのフューエルチューブ。
エアーインテークの穴が、モデル222のフューエルチューブと異なる位置にあるのがわかるでしょうか。
モデルが違ってもエアー取り込み口の位置や数が変わるだけで、フューエルチューブの基本構造は同じです。
フューエルチューブの外観を下の図にまとめてみました。
フューエルチューブの構造
フューエルチューブは細い管と太い管の二重構造になっています。
細い管と太い管には絶妙な隙間があり、ジェネレーターへ適切な燃料と空気を送る役目を担っているのです。
フューエルチューブは簡単に分解清掃できるようには作られていませんが、必要に応じて下の写真のように分解することは可能です。
フューエルチューブ不良で生じる症状
フューエルチューブが原因で発生する問題の多くは、以下の3通りのいずれかに当てはまるかと思います。
不具合の症状
- ジェネレーターからシューシュー音はするけど燃焼しない。
- 着火するけど、いつまで経っても火だるまのまま。
- 燃焼はするけど、いくらポンピングしても火力が弱い。
ジェネレーターからシューシュー音はするけど燃焼しない
ランタンやストーブを中古で入手する際、ポンピング圧がかかるか、ジェネレーターからエアーの吐出音が聞こえるかの確認をするかと思います。
実は、ジェネレーターからエアーの吐出音が聞こえても、正常に点火できると判断するのは早計です。
アウターチューブの燃料吸い込み口がふさがっていても、エアーインテークから空気を吸い込みますので、ジェネレーターからシューシューと吐出音は聞こえるのです。
着火するけど、いつまで経っても火だるまのまま
点火した!やったぁ!
と喜ぶのもつかの間、せっかくのビンテージ品が火だるまになり、真っ黒こげなんてことも・・・。
フューエルチューブのエアーインテークがふさがることはまずありませんが、インナーチューブとアウターチューブの隙間が詰まることはよくあります。
インナーチューブとアウターチューブの隙間が詰まると、ジェネレーターに適切な量の空気が送られないため、酸素不足で赤火になるのです。
何をやっても解決しない赤火が、フューエルチューブのクリーニングで直るケースはとても多いです。
燃焼はするけど、いくらポンピングしても火力が弱い
とりあえず着火はするんだけどなぁ・・・。
ランタンやストーブに火は入るものの、いくらポンピングしても火力が上がらない場合は、フューエルチューブのインナーチューブ内部、もしくはアウターチューブの燃料吸い込み口が詰まっている可能性が大です。
燃料に含まれる不純物や緑青等、堆積物が燃料の通り道をふさいでいるため、適切な燃料が上がってこないために火力が上がらなくなります。
フューエルチューブ不良の修理
フューエルチューブ不良による不具合の多くは、フューエルチューブのクリーニングで直ります。
ただ、前述したようにフューエルチューブは簡単に分解できない作りになっています。
多くの場合、パーツクリーナー、エアーダスター、クリーニングワイヤー等を使うことで、分解せずにクリーニングできます。
フューエルチューブのクリーニングは以下の順に作業を進めてみてください。
パーツクリーナーを吹く、漬け込む
上の動画にあるように、エアーインテークからパーツクリーナーを吹いたとき、ジェネレーター側と燃料吸い込み口からパーツクリーナーが勢いよく噴き出せば正常です。
いずれかの穴からの噴出が弱ければ、フューエルチューブをパーツクリーナーに一昼夜ほど漬け込むと、汚れが溶け出し本来の機能を取り戻すことも多いです。
二重管の隙間にたまった汚れを排出するイメージでクリーニングします。
エアーダスターで汚れを吹き飛ばす
汚れや堆積物がそれほどひどくない場合には、エアーダスターを使うだけで詰まりが取れることもあります。
上記のパーツクリーナーを使ったクリーニング後の仕上げにも、エアーダスターで残留パーツクリーナーを吹き飛ばすと完璧です。
写真のようにジェネレーター側、燃料吸い込み口、エアーインテークの三方向からエアーダスターを吹きます。
クリーニングワイヤーを通す
パーツクリーナーやエアーダスターを使っても取れない固着がひどい汚れや堆積物は、機械的に洗浄するしかありません。
チューブ内径に合わせた専用のクリーニングワイヤーを使うのがベストですが、下の写真のようにワイヤーブラシなどで代用することもできます。
おすすめはガス器具のノズルなどを掃除する専用の掃除針です。
よくお問い合わせいただくコールマン222のメンテナンスがメインなのであれば、穴径0.2mmと0.4mmの2つが揃ったセットがおすすめです。
ホーザン(HOZAN) ノズル掃除針セット 線径:φ0.2mm/φ0.3mm/φ0.4mm/φ0.6mm/φ0.8mm/φ1.0mm HG-5 ノズル孔など...
クリーニングワイヤーを使ったフューエルチューブの洗浄については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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フューエルチューブを分解して清掃する
上の写真はモデル500のフューエルチューブを分解したもの。
アウターチューブのカシメを細いマイナスドライバーなどではがして分解します。
インナーチューブはねじ込み式になっています。
フューエルチューブによってはアウターチューブがロウ付けされているものもあり、簡単に分解できないものもあります。
クリーニング後の処理についてはカシメて戻すのが難しい場合、ロウ付けやはんだ付け、耐熱ボンド等を使用します。
耐熱ボンドでの処理については、以下の記事をご覧になってみてください。
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コールマン500フューエルチューブ二重管の構造
上の写真はコールマン500のフューエルバルブアセンブリー。 パーツナンバーは500-6571になります。 修理後のフューエルチューブを取り付けるところです。 今回はフューエルチューブ二重管の構造につい ...
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動作を確認する
上の写真は耐熱ボンドでアウターチューブを元に戻したフューエルチューブです。
見栄えは悪いですが、インナーチューブがきちんとネジ部にねじ込まれていて、エアーインテークがふさがっていなければ問題なく機能します。
フューエルチューブが高温にさらされることはありませんが、使うのであればエポキシ系の耐熱ボンドをお勧めします。
フューエルチューブが正常に機能するかは、パーツクリーナーを使って確認できます。
以下の動画を参考にしてみてください。