上の写真はショップでお預かりしたコールマン576用ジェネレーター、品番505-5571です。
今やオークションにもめったに出てこない希少な廃版パーツになりました。
モデル576は、フィールドに映える鮮やかなカナダグリーンが目を引きますよね。
ストーブのジェネレーターはいつかは交換が必要になる消耗部品です。
コールマン2レバー系ストーブフリークにとって、愛機を使い続けるには交換用ジェネレーターの確保がネックになるのではないでしょうか。
このピークワン576ストーブ用2レバージェネレーター505-5571はじめ、400、400A用の400-5891や508-5891などの新品価格は、もはや程度の良い中古ストーブ本体が買えてしまうほどです。
このような背景もあり、ショップにも2レバージェネレーターの修理依頼が多くなっています。
今回は576用ジェネレーター、505-5571の破損したニードル再生修理事例をご紹介します。
ジェネレーターの状態
上の写真は燃焼しなくなってしまった576ストーブから取り外したジェネレーター、コールマン品番505-5571です。
グラファイトパッキン以外、すべての部品が揃っているのですが・・・。
よく見ると下の写真のようにクリーニングワイヤーがエキセントリックブロックの先端で折れてしまっています。
クリーニングワイヤーがエキセントリックブロックから抜けただけであれば、再度挿入しなおすだけで直ります。
今回お預かりした個体の場合、折れたクリーニングワイヤーを再利用するには、やや長さが足りませんでした。
クリーニングワイヤーを再生するにあたって、まずは新品部品の採寸をしてみます。
新品ニードルの採寸
上の写真は576用ジェネレーター、コールマン品番505-5571から取り出したエキセントリックブロック。
クリーニングワイヤーの突き出しは、6.35mm前後でしょうか。
ワイヤーの長さは工場出荷時点で個体差もあり、後から微調整も可能なので作成時には大体でいいんじゃないかと思います。
続いてクリーニングワイヤーの太さ。
0.35mm弱といったところでしょうか。
上記採寸データをもとに、今回作成する部品の設計図は以下の通り。
エキセントリックブロックからのクリーニングワイヤーの突き出しを6.35mm、ジェネレーター本体からの突き出しを最大4mm、最小0mmになるよう作成し、Gas Tip径に合うよう太さを研磨、調整していきます。
代替部品の材料
クリーニングワイヤー代替品の素材としては、細いステンレス線、鉄線、真鍮線などが候補になります。
手持ちの余り材料等が数センチほどあれば十分事足りるかと思います。
今回使用したのは、管理人が幼少のころ昆虫標本作りに使っていた昆虫針の残り。
太さ0.35mmのものが道具箱に入っているのを思い出しました。
そのままではやや太すぎるので、少し研磨する必要がありそうです。
昆虫針はアマゾン等で入手できます。
有頭と無頭の昆虫針がありますが、切断して使用しますので無頭の昆虫針が価格も安くお勧めです。
クリーニングワイヤーの作成
クリーニングワイヤーの作成手順については、以前508ストーブのニードル再生修理でもご紹介しています。
手順は同じですので、以下の記事もあわせてご覧いただければと思います。
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クリーニングワイヤーを研磨する
素材をカットする前のほうが研磨作業がしやすいので、上の写真のようにリューターやドリルに昆虫針をくわえさせます。
適当な目の粗さの耐水ペーパーで、下の写真のように昆虫針を研磨していきます。
今回は工具箱に残っていた800番の耐水ペーパーを使いました。
ジェネレーターのガスティップ(先端部品)の穴に通しながら、研磨具合を調整します。
必要な径は0.35mm弱なので、0.35mmの昆虫針であれば、そんなに研磨する必要はないでしょう。
0.3mmの昆虫針を使うのであれば、研磨せずに使っていいかと思います。
素材をカットする
研磨が終わったら昆虫針を必要な長さにカットします。
エキセントリックブロックからのクリーニングワイヤーの突き出しが6.35mmなので、挿入分3mmほどを見て、今回は昆虫針を9mmでカットしました。
カットした針の先端が飛んでいきやすいので、上の写真のように逆作用ピンセットで針の先端を挟んでおくといいでしょう。
クリーニングワイヤーを取り付ける
カットした昆虫針をクリーニングワイヤーとして機能するよう、上の写真のようにエキセントリックブロックに挿入します。
エキセントリックブロックの先端部をペンチなどでカシメて、クリーニングワイヤーが動かないよう固定しておきます。
下の写真のような状態になっていれば、正常に動作するはずです。
クリーニングワイヤーの突き出しの微調整は、カシメた部分をトーチバーナー等で炙ってペンチなどでスライドさせれば可能です。
動作確認
上の写真はジェネレーターに部品を取り付け、レバーを最大火力側に動かしたところ。
クリーニングワイヤーの突き出しがない状態になっていれば、オリジナルと同じ状態です。
続いて下の写真はレバーを弱火側に動かしたところ。
クリーニングワイヤーの突き出しが4mm前後になっていれば、オリジナルと遜色ない動作をするはずです。
ショップでは2レバーストーブの折れたジェネレーターレバーの修理等もお請けしています。
コールマン社に修理を断られてしまった場合など、お困りの際はご相談いただければと思います。