上の写真はコールマン222Bに取り付けられていたフューエルチューブ。
品番222-1461の部品で、正式には「Fuel and Air Tube」と呼びます。
なかなか単体では出てこない希少な廃盤部品です。
この部品が結構曲者で、古い個体の動作不良の多くがこのフューエルチューブの詰まりによるものです。
今回はコールマン222など、ピークワンランタンのフューエルチューブの詰まり修理をご紹介します。
ご紹介する修理方法は一例であって、すべての個体に当てはまるとは限りません。
フューエルチューブ修理品の状態
今回ショップに送られてきたのは、お客様がお父様から譲り受けたという222B。
ジェネレーターを新品に交換しても燃料が吐出されないという症状。
そもそもジェネレーターをはずした状態でバルブを開けても、燃料が上がってこないということでした。
しばらく使っていないピークワンランタンのフューエルチューブが詰まりを起こすことはよくあります。
フューエルチューブの詰まり解消にはパーツクリーナーが有効と、メンテナンスブログ等ではよく紹介されています。
このお客様もフューエルチューブのパーツクリーナー漬け置きを試したようですが、詰まり解消にはいたらずショップに修理のご依頼をされました。
パーツクリーナーで詰まりをチェックする
送られてきたフューエルチューブの燃料吸い込み口は、下の写真のように何も問題なさそうに見えます。
フューエルチューブは「Fuel and Air Tube」という部品名の通り、燃料を吸い込む菅とエアーを吸い込む菅の二重構造になっています。
詰まりが起こるのは、燃料を吸い込む菅の内部、または燃料を吸い込む菅とエアーを吸い込む菅の隙間です。
緑青や残留燃料の不純物が、詰まりを起こす主な原因であることがほとんどです。
燃料を吸い込む菅とエアーを吸い込む菅の隙間が詰まっているかどうかは、フューエルチューブの上下どちらからでもいいので、パーツクリーナーを吹いてやるとわかります。
下の写真の赤丸で囲った穴からパーツクリーナーが噴き出せばOK。
もしも赤丸で囲った穴からパーツクリーナーが噴き出さなければ、燃料を吸い込む菅とエアーを吸い込む菅の隙間が詰まっています。
3~4日ほどパーツクリーナーかホワイトガソリンに漬けておくと、詰まりが解消されることが多いです。
パーツクリーナーかホワイトガソリンに漬けこんでもダメな時は、フューエルチューブ先端部品のロウ付けを溶かして機械的に洗浄します。
目視で詰まりをチェックする
燃料を吸い込む菅とエアーを吸い込む菅の隙間ではなく、燃料を吸い込む菅が詰まることもよくあります。
その場合にはポンピングして圧をかけた状態でバルブを開けると、燃料は上がってこずにエアーだけが吐出されるので、すぐにわかります。
管理人のような老眼にはやや厳しいですが、目の良い方なら下の写真のようにフューエルチューブをバルブステム側から覗いて、ピンホールが見えるかで確認することも可能です。
今回修理のご依頼をいただいたフューエルチューブは、燃料を吸い込む菅に詰まりがありました。
2日間パーツクリーナーに漬けこんでみましたが、詰まりは取れませんでした。
この状態のフューエルチューブは、機械的に洗浄する以外に方法はありません。
修理に必要な道具
上の写真はキャブレターやガスコンロ穴の清掃用のツール。
掃除針やクリーニングニードルとしてアマゾンなどで入手することが可能です。
コールマン222Bのフューエルチューブ清掃には、穴径0.2mmと0.4mmの2つが適しているでしょう。
ホーザン(HOZAN) ノズル掃除針セット 線径:φ0.2mm/φ0.3mm/φ0.4mm/φ0.6mm/φ0.8mm/φ1.0mm HG-5 ノズル孔など...
必要な道具の代用品
たった1回の作業のために専用ツールを買わなくても、身近な代用品があります。
ランタン修理が仕事という人でなければ、下の写真にある身近な代用品で十分事足りるかと思います。
上の写真はステンレス製のワイヤーブラシ。
真鍮製だと柔らかすぎてフューエルチューブ清掃には適さないかと思います。
ワイヤーブラシそのままの状態ではツールとして使えないので、下の写真のようにペンチなどで1本を引き抜きます。
引き抜いたワイヤーは、あえて完全にまっすぐに伸ばさず、適度に湾曲を残しておきます。
この湾曲がフューエルチューブ内で清掃ブラシの役目をはたしてくれるのです。
フューエルチューブ先端のクリーニング
上の写真はフューエルチューブ先端をワイヤーブラシのワイヤーでクリーニングしているところです。
約0.2mmの穴へクネクネしたワイヤーを挿入するのは難しいかもしれません。
下の写真のように、ラジオペンチなどでワイヤーの先端をつかんでやるのが作業のコツです。
市販されている掃除針を使う場合には、下の写真のように逆側から挿入すると楽に清掃できます。
フューエルチューブ内部のクリーニング
フューエルチューブ先端の穴径は約0.2mmですが、内部の燃料吸い上げ菅の穴径は約0.5mmほど。
0.4mmほどの掃除針などで清掃してやるのが理想です。
100均で入手できるステンレス線で十分事足ります。
下の写真のように、フューエルチューブのバルブ側からステンレス線を挿入して、何回か往復させれば内部の詰まりが解消されるかと思います。
ダイドーハント (DAIDOHANT) ( 軟質 ) ステンレス線 [ SUS304 ] [太さ] #26 0.45 mm x [長さ] 10m 10155267
ピークワンランタン初期の222などには、クリーニングニードルが付いたバルブアッセンブリーが装着されています。
なので、フューエルチューブの詰まりというトラブルも、後期型ならではの症状です。
古い道具の良さは、このようなところでも実感できますね。
コールマン222B修理品燃焼確認動画
今回お預かりした222Bの燃焼確認動画です。
点火時、トーチバーナーなどでジェネレーターを温めてやると、ランタンが火だるまにならずに済みます。
調子の悪いピークワンランタンがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。