上の写真はeBayでゲットしたコールマン500。
悲しいかな、バルブノブの残骸が下に転がっているのがわかるでしょうか。
出品画像にはバルブノブも写っていたはずなのですが・・・。
もともと割れていたのか、日本への輸送中に割れてしまったのかわかりませんが、「Sold as is.」つまり現状渡しが約束であった以上しかたのないことですね。
予算よりも安い価格で大好きなスピードマスターが落札できただけで良しとします。
ビンテージコールマンを入手するといつかぶち当たるのが、錆びたネジやボルトが固着してはずせないといった問題。
力づくで回してネジを舐めてしまったら、二度とオリジナルに戻せなくなってしまうリスクがあります。
ネジ1本に至るまでオリジナル部品でないと許せない・・・。
管理人もその傾向が強いですが、同じ思いを持つ方は多いんじゃないかと思います。
今回は、錆ついて固着したネジやボルトのはずし方をご紹介します。
コールマン500を例にしていますが、色々なモデルに応用できるはずです。
2つの必須アイテム
錆ついて固着したネジやボルト外しには浸透潤滑剤を使う、火で炙る、ハンマーでたたく、ショックドライバーを使うなどの方法があります。
ハンマーでネジやボルトの頭をたたくだけで解決することもあれば、管理人の場合、1週間ほど格闘したこともあります。
ショックドライバーは自動車やバイクに使われるような頑丈なネジやボルトであればいいのですが、ビンテージコールマンなどに使われる、ネジやボルト頭部に材質の厚さがないものに対しては不向きです。
ランタンやストーブの比較的柔らかいパーツに対して、ハンマーで強い衝撃を与えること自体リスキーともいえます。
浸透潤滑剤ラスペネ
錆ついて固着したネジやボルト外しにもっとも効果があるのは、浸透潤滑系のスプレーです。
ラスペネ、CRC5-56、WD-40などいくつかの入手しやすい製品がありますが、管理人のおすすめは部屋の中で使っても家族からクレームの来ない、無臭性のラスペネです。
浸透潤滑系のスプレーは色々試してきましたが、臭いがしないこともあって無臭性のラスペネに落ち着きました。
ラスペネの浸透力については、CRC5-56やWD-40よりも優れている実感があります。
トーチバーナー
トーチバーナーで固着したネジやボルトの受け側の素材を熱してやることで金属膨張を促し、穴径が広がることでネジやボルトを回すことができるようになります。
ビンテージコールマンでは、バルブとタンクの接合部に接着剤のようなものが使われているものもあり、タンクから固着したバルブを取り外す際にもトーチバーナーが活躍します。
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ビンテージコールマンランタンやストーブの燃料バルブのシール剤
ショップのお客さんからいただいた問い合わせ。 燃料バルブとタンクの間にある白っぽい漏れ止め剤のようなものは何ですか? ちょうど上の写真にも写っている、バルブステムとタンクのつなぎ目に見える白っぽいもの ...
また、トーチバーナーは液然ストーブやランタンのプレヒートにも重宝します。
管理人はコールマンのほかホエーブスストーブのコレクターでもあり、ホエーブス725や625のプレヒートはトーチバーナーを使っていますよ。
ランタンやストーブのプレヒート、錆びて固着したネジやボルトを外すのに高価なトーチバーナーは必要ありません。
経済的なカセットガスの使える安物で十分です。
管理人はSOTO製のフィールドチャッカーを愛用しています。
錆びて固着したネジやボルトの取り外し手順
固くて回らないネジやボルトを力づくで回すと、舐めてしまうか、最悪の場合ねじ切ってしまうことになります。
舐めてしまった場合にはネジザウルスなど特殊工具を使えば、まだ取り外せる可能性があります。
錆びて固着したネジやボルトを外すときは、時間をかけて焦らずに作業することが成功につながります。
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1ネジやボルトに浸透潤滑剤を吹く
上の写真はコールマン500スピードマスターのバーナーフレームとバーナープレートです。
バーナーリングとエアーバッフルを固定するネジも固着していることが多いのですが、今回入手した個体はすんなりと外れました。
続いて問題の裏側を見てみましょう。
バーナーフレームをバーナープレートに固定するネジが、大きなマイナスドライバーを使ってもびくともしない状態です。
ネジが舐めてしまう前に回すのをあきらめるという力加減は経験が必要ですが、固いと思ったらやめるのが吉です。
次の一手を打ちましょう。
下の写真のようにネジ部にたっぷりとラスペネ等の浸透潤滑剤を吹きつけます。
さらに下の写真のように、バーナーフレームとバーナープレートの接続部からも潤滑剤を吹きつけて、可能な限りネジ部に潤滑剤を浸透させるようにします。
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2潤滑剤の浸透を待ってネジを回す
ラスペネ等の浸透潤滑剤を吹いたら、すぐにネジを回そうとするのではなく、潤滑剤がネジ部に浸透するのを30分ほど待ちます。
ネジ部に吹いた潤滑剤がすぐに浸みこんでいくようであれば、潤滑剤を追加で吹きます。
錆がひどい個体になると、潤滑剤がすぐに浸みこんでいかなくなるまで、3~4回ほど追加で潤滑剤を吹くケースもあるでしょう。
時間が経っても潤滑剤が表面にヒタヒタに残っているような状態になれば、潤滑剤が内部に浸透しきった目安になります。
ネジを回す前に潤滑剤を吹きとり、サイズのピッタリ合ったマイナスドライバーで力加減を調整しながら試しに回してみます。
「ヤバそうだ。」と思ったら回すのをやめて、もう一度上記の工程を繰り返します。
管理人の場合、3日ほどかけてネジ部に潤滑剤を浸透させることもあります。
固くて回らなかったネジも、潤滑剤が浸透するとそれまでの固着が嘘のようにあっさりと回ることもあります。
浸透潤滑剤を吹いてもウンともスンともいわないねじには、次にご紹介する金属膨張を利用します。
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3ネジ部の受け側をトーチバーナーで炙る
中学生ぐらいのときに、金属の輪をアルコールバーナーで熱して、金属球を輪に通す実験をした方もいるのではないでしょうか。
最初は輪に通らなかった金属球が、熱膨張した輪に通るのと同じ原理でネジもはずすことができます。
下の写真のように、コールマン500のバーナーフレームとバーナープレートの接続部をトーチバーナーで熱します。
可能な限り高温に熱したほうが膨張率が上がるため、ネジを取り外しやすくなります。
くれぐれもヤケドしないよう、アウトドア用の革手袋等を使用しましょう。
浸透潤滑剤+トーチバーナーの二段構えで、たいていの錆による固着ネジやボルトは取り外せるはずです。
管理人の経験では、1週間毎日3回ほど浸透潤滑剤を吹いて、あきらめかけたころにするっとまわったネジなどもあります。
ネジの溝がしっかりしているのであれば、舐めないように気をつけて気長に作業してみてください。
時間をかけてやれば、下の写真のように錆で固着したネジもちゃんとはずせるはずです。
バーナープレートを利用する
コールマン500の場合、バーナーフレームとバーナープレートの固定ネジは2本あります。
固着が強い場合には、どちらか1本をはずすことができれば、下の写真のようにバーナープレートごと反時計回りに回してやることで、もう1本のネジを緩めることができます。
なので、できるだけネジの溝がしっかりしているどちらか1本のネジをはずすことに集中してみてください。
ただし、バーナープレートごと回す場合にも、事前にネジ部には浸透潤滑剤をたっぷりと吹いておきましょう。
バーナーフレームとバーナープレートを分離しなくてもレストアすることはできますが、できれば各パーツの細部まで錆取りを行っておきたいものです。
コールマン500の廃盤パーツ、ショップに掲載していないパーツもいくつか在庫していますので、見つからないものなどありましたらお問い合わせください。