ストーブ

コールマン500スピードマスターLighterレバーのグラファイトパッキン交換

このページには広告が含まれています。

コールマン500

ストーブやランタンのバルブ周りによく使われるグラファイトパッキン。

ビンテージストーブやオールドコールマンを持つようになって初めて「グラファイトパッキンとは何ぞや?」となるケースが多いんじゃないかと思います。

グラファイトパッキンは耐熱性に優れていることから、高温にさらされるストーブやランタンのパッキンとして使うにはもってこいの素材なのです。

素材は膨張黒鉛で、鉛筆をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

エンピツが使うとどんどんすり減っていくように、ストーブやランタンのグラファイトパッキンも使用に伴い摩耗していき、いつかは交換が必要になる消耗部品です。

ストーブやランタンでは、密閉と可動が必要なバルブステムを持つ多くのモデルに使われています。

またモデル400や505、576など2レバータイプのピークワンストーブのジェネレーター、モデル500のLighterなどにも使われています。

今回はモデル500スピードマスターLighterレバーのグラファイトパッキン交換手順をご紹介します。

コールマン500のLighterの役割

ライター

上の写真はコールマン500のLighterレバー。

点火時は「LIGHT」、燃焼が安定したら「BURN」の位置にセットします。

ライターの役割は200Aランタンなどの点火時バルブ1/4オープンと同じで、点火時の燃料流量を制御することです。

点火時、燃焼が安定するまで燃料流量を少なくするのがLighterの目的です。

しかし、このLighterは200Aランタンなどの点火時バルブ1/4オープンほどの効果はなく、使っても使わなくてもあまり変わらないというのが管理人の印象です。

管理人の場合、Lighterは常時「BURN」位置に固定したままトーチバーナーでプレヒートして点火することの方が多いです。

「LIGHT」と「BURN」の使い方は以下の動画をご覧になってみてください。

ソト(SOTO) フィールドチャッカー ST-Y450

ソト(SOTO) フィールドチャッカー ST-Y450

2,522円(04/23 13:47時点)
Amazonの情報を掲載しています

 

グラファイトパッキンの摩耗限界

バルブアセンブリー

上の写真はコールマン500のフューエルチューブとフィードチューブ、ライター(Lighter)で構成されるアセンブリーです。

ネジ部から下のタンクにねじ込まれるフューエルチューブは二重構造になっていて、燃料とタンク内のエアをバランスよく吸い上げる仕組みになっています。

この二重構造の部分は経年の使用により燃料に含まれる不純物や汚れ、緑青などが詰まりを起こすことがあり、定期的にクリーニングをしてやる必要があります。

今回のお題であるLighterレバーのグラファイトパッキン挿入部を見てみましょう。

レバー基部

上の写真のレバー基部、六角ナットに注目してみてください。

六角ナットがかなり締めこまれ、締め込みしろがほとんど残っていません。

つまり、挿入されていたグラファイトパッキンが完全に摩耗してしまうと、六角ナットを締めこむことができなくなります。

六角ナットを締めこむことができなくなったら、グラファイトパッキンを詰め直す以外にレバー部からの燃料漏れを止める方法はありません。

実際の使用では、完全に六角ナットを締めこむことができなくなる前に、グラファイトパッキンの交換をする必要があります。

 

グラファイトパッキンの交換

モデル500のLighterは使用頻度が高いものではないので、古い個体でも六角ナットの締め込みしろが十分に残っているものが多いです。

締め込みしろが十分に残っているものは六角ナットの増し締めで様子を見ましょう。

六角ナットを完全に締めこんでもレバー基部から燃料が漏れるようであれば、いよいよグラファイトパッキンの交換、もしくはグラファイト素材の詰め増しということになります。

モデル500のLighter用グラファイトパッキンは市販されていないので、グラファイトシート、グラファイトリボンを必要分カットして使用します。

管理人は国内外から色々なグラファイト素材を取り寄せて、より使いやすいものを研究しています。

その時々で使用する素材が変わりますが、良いグラファイト素材が見つからなければショップから切り売りでお分けすることもできます。

使用箇所等と合わせてご相談いただければと思います。

 

レバー部の六角ナットを緩める

六角ナットを締めこむ

グラファイトパッキンの交換または詰め増しをするには、上の写真のようにレバー部の六角ナットを緩めます。

モデル400やスペアジェネレーター400-5891などに付属する5/16インチのレンチがジャストフィットします。

ラジオペンチやプライヤーで直接六角ナットを挟むとキズが付きます。

専用レンチがなければ、皮のハギレを噛ませてプライヤー等を使うか、モンキーレンチ等を使いましょう。

レバー部の六角ナットが回らないほど固着することはないと思いますが、あまりに固すぎると感じるときはラスぺネ等の浸透潤滑剤を吹き30分ほど経ってから再トライします。

 

六角ナットを引き出す

六角ナットのネジ部

レバー部の六角ナットを緩めると、上の写真のようにネジ部がアセンブリーから顔を出します。

レバーに曲がりがなければ、下の写真のように六角ナットをスライドさせることができるはずです。

六角ナットを引き抜く

しかし、Lighterレバーは使っていると曲がってしまうこともあり、六角ナットをすんなりスライドさせることができない個体も少なくありません。

その場合には六角ナットとレバーの隙間にラスぺネ等の浸透潤滑剤を吹いた上で、下の写真のようにソフトタッチプライヤーなどで挟みながらぐりぐりと六角ナットを基部から離すようにずらします。

六角ナットを挟む

IPS(アイピーエス) ソフトタッチ コンビ PH-165

IPS(アイピーエス) ソフトタッチ コンビ PH-165

1,209円(04/23 13:47時点)
Amazonの情報を掲載しています

 

古いグラファイトパッキンを確認する

古いグラファイトパッキン

レバー部の六角ナットをスライドさせると、上の写真のように奥に古いグラファイトパッキンが残っているケースがほとんどです。

古いグラファイトパッキンが粉のようにボロボロと崩れるようでなければ、古いグラファイトパッキンは掻き出さずにそのまま使用します。

レバーがアセンブリーから簡単に抜けるようであれば、古いグラファイトパッキンを完全に除去してから新たにグラファイトパッキンを形成する必要があります。

レバーを引き抜いてのグラファイトパッキン交換については、マニュアルをご覧になってみてください。

保護中: コールマン2レバージェネレーターの再生|グラファイトパッキン交換マニュアル

この投稿はパスワードで保護されているため抜粋文はありません。

 

グラファイト素材を充填する

グラファイトリボン

上の写真は、今回使用したグラファイト素材。

厚さ0.5mm、幅1/4インチ(約6mm)のテープ状のもので、グラファイトテープもしくはグラファイトリボンという名称で流通しています。

レバー部に巻きつけられるタイプのグラファイト素材であれば、厚さや幅に特にこだわる必要はありません。

シート状のグラファイト素材をカットして使う形でもまったく問題ないです。

下の写真のように六角ナットネジ部の径とだいたい同じサイズになるように、グラファイト素材をレバーに巻き付けていきます。

グラファイトテープを巻く

レバーに巻き付けたグラファイト素材は、指やマイナスドライバーを横に充てたりしながら、レバーの根元に押し込んでいきます。

グラファイト素材充填量は、六角ナット締め込み時に圧縮されることを考慮して、可能な限り詰め込んでおくのがベストです。

グラファイトテープやリボンを使った場合、1回の巻きで足りなければ2回巻いたりもします。

下の写真のような状態までグラファイト素材を詰め込んだうえで六角ナットを締めこんでやると、いい感じのグラファイトパッキンを形成することができます。

グラファイト素材を充填する

 

グラファイトパッキンの形成

グラファイトパッキンの形成

グラファイト素材を適量充填したら、上の写真のようにスパナやモンキーレンチなどを2本使って六角ナットを締めこんでいきます。

グラファイト素材は圧縮されることによってパッキンとして形成されます。

なので、充填時に多少スカスカの状態であっても問題ありません。

六角ナットを締めこんだ後、再度緩めて下の写真のようにネジ部が少し見える程度にまでグラファイトパッキンが形成されていれば上出来です。

グラファイトパッキンの形成

もしもグラファイトパッキンが上の写真よりも浅い位置までしか形成されていなかった場合には、グラファイト素材を詰め増します。

可能な限り厚みのあるグラファイトパッキンを形成しておくと、六角ナットの締め込みしろが多くなり次回のメンテナンスまでの期間が長くなります。

 

作業完了時の六角ナットの締め込みしろ

六角ナットの締め込みしろ

上の写真は今回グラファイト素材を詰め増ししたモデル500のLighterレバー部。

グラファイト素材を目いっぱい詰め込むことによって、六角ナットの締め込みしろをオリジナルの2倍程度は確保できているかと思います。

スピードマスターのLighterは外観からは判断できない場所にあるので、Used品購入時にはチェックすることができません。

メンテナンス頻度は高くない箇所ですが、Lighterレバー部から燃料がにじむ中古品は多いので、入手したら必ずチェックしておきたい部分です。

モデル500のLighterレバー部グラファイトパッキン交換手順は、モデル400、505、576、508といったコールマン2レバータイプのストーブにも応用できます。

このブログ、またショップへのお問い合わせも多いことから、グラファイトパッキン交換マニュアルを作成しました。

ご自身でモデル500のLighterレバー部、また2レバータイプピークワンストーブのグラファイトパッキン交換を考えている方向けのマニュアルです。

必要な素材、道具等含め約10,000文字にわたり写真を使ってわかりやすくご紹介していますので、お役に立てていただければと思います。

 

グラファイトパッキン交換作業のご依頼

グラファイトパッキン交換作業

スピードマスターのLighterレバー部や2レバージェネレーターのグラファイトパッキン交換にあたっては、適切な手順で作業をしても金属疲労等によりレバーが破損してしまうケースも少なくありません。

破損免責のご了承と往復送料をご負担いただく形でよろしければ、ショップにてグラファイトパッキン交換作業は5,000円からお請けしています。

価格の高騰が止まらない508-5891、400-5891など新品2レバージェネレーター交換の前に、ぜひグラファイトパッキン交換も検討してみてほしいと思います。

-ストーブ
-