バルブが硬くて回りません!
こんなもの売りつけるんですか!
ヤフオクでホエーブス625の未点火品をご落札いただいた方から、怒りのメッセージが取引ナビに届きました。
ビンテージストーブやランタンの未点火品やNOS(未使用長期保管品)の場合、入手したままの状態で点火できる個体はまずないものと考えておく必要があります。
ゴム製パッキンなど経年で劣化する部品交換や、燃料系統、エア系統など、ひと通りの点検とメンテナンスが必要になるのが未点火品やNOSの性質です。
こうした点検とメンテナンスは誰が教えてくれるわけでもなく、コレクター自らが経験から学ぶしかないと思いますが、中には上述した方のように未点火品にそのまま火を入れようとするケースも少なくありません。
この方には超長い説明をヤフオクの取引ナビからお送りして、最終的には無事に点火でき事なきを得ました。
結果的にプレヒートを知らないがために生じたユーザーの単純な思い込みで、落札いただいたホエーブス625の未点火品にはなんの問題もなかったのです。
今回はホエーブス未点火品のバルブ固着についてのお話です。
冷えたホエーブスのバルブは固い
使用中のホエーブスのバルブは625、725問わず回すのに固さを感じるケースはさほどないのではないでしょうか。
しかし、ひとたびストーブが冷えてしまうと、「壊れるんじゃないか」というぐらいバルブが固くなってしまうホエーブスは多いです。
もちろんシャフト(スピンドル)を固定するAB-3の締め付け具合にもよるとは思います。
バルブの固さを解消するには、シャフトに耐熱シリコングリスを塗るという方法がおすすめです。
しかし、シャフトに耐熱シリコングリスを塗るには、一度バルブからシャフトを抜き取る必要があります。
ホエーブスの場合、バルブからシャフトを抜き取るには力業か、専用のツールを使わないとなかなか難しいものがあります。
特に初めてホエーブスを触る方にとっては、かなり苦労を強いられる作業かと思います。
固いホエーブスのバルブをすんなりと回すには、バーナー等でバルブを温めるという方法がもっとも簡単です。
固いホエーブスのバルブは温めると回りやすくなる
ホエーブスのバルブは、シャフトとグラファイトパッキンで気密性と適度な可動性を保つ構造です。
金属は熱で膨張し冷めると収縮するので、燃焼中はバルブが膨張してグラファイトパッキンがやや緩むため、バルブが回しやすくなるのです。
また未点火品など長期間使用されていない個体の場合、シャフトに発生した錆がグラファイトパッキンと固着している可能性があります。
ホエーブスの固着したバルブはバーナー等で熱してやるか、アルコール等でプレヒートしてやることで格段にスムーズに動くようになります。
力づくで回そうとすると、ハンドルの切り欠き部が破損してしまうので、くれぐれも無理やり回そうとしないことです。
CRCやラスペネなどの浸透潤滑剤を使わない
ホエーブスの固着したバーナーの取り外しや、コールマンの整備で管理人が愛用する浸透潤滑剤は、無臭性のラスペネです。
家の中での作業が多いため、家族からのクレームで無臭性のラスペネに落ち着きました。
CRCなどより格段に錆びたネジ等に効くので、ぜひ試してみてほしいと思います。
しかし、この浸透潤滑剤をグラファイトパッキンに吹き付けると、グラファイトパッキンの素材自体が流れ出してしまうので、固着したバルブの動き解消に使うのはいけません。
逆にグラファイトパッキン交換時のパッキン破壊用に使うのはおすすめです。
ホエーブス未点火品の取り扱い注意事項
ホエーブス未点火品を入手したら、点火前に最低限やっておきたいメンテナンス項目をまとめてみました。
液然ストーブの取り扱いは火災等のリスクを伴うので、十分に注意してほしいと思います。
点火前に最低限やっておきたいこと
- 燃料キャップのガスケット交換
- 圧力弁のガスケット交換
- NRVバルブのパッキン交換(625の場合)
燃料に灯油を使う場合には、十分にプレヒートしてから点火しましょう。