上の写真は1年以上も前にeBayで落札したコールマン500カナダです。
このモデルはオークションに出品されてもペイントロスが激しい個体が多い中、カナダグリーンが割と多く残っているように見えたので頑張って落札しました。
比較的状態の良い500だったので、メンテナンスリストの最後尾に記載したまま結構な時間が経ってしまいました。
まるまる2日かけて分解、洗浄、磨き、組み上げを終えたのですが、燃料バルブがスカスカでバルブステムのグラファイトパッキンが使用限界を超えていることがわかりました。
この状態で燃料を入れて圧をかけたら、間違いなくバルブステムから燃料が漏れ出すはずです。
コールマン500のバルブステムからの燃料漏れは、バルブステムのナットを締めこむことで止まることも多いですが、使用していくうちにグラファイトパッキンも摩耗限界を迎えます。
今回はコールマン500のバルブステムのグラファイトパッキンのお話です。
コールマン500のバルブステム
上の写真はコールマン500のバルブステムです。
黒いハンドルを回すことで火力の調整ができます。
バルブステム(軸)と固定ナットの隙間にはグラファイトパッキンが挿入されていて、固定ナットを締めこむことで燃料漏れを防ぐ仕組みになっています。
ストーブを使用していくうちにグラファイトパッキンは少しずつ摩耗していきます。
バルブステムからの軽度の燃料漏れは、バルブステム固定ナットを締めこんでいくことで、ある程度までは簡単に止めることができます。
もうこれ以上締めこめないという状態になったら、内部のグラファイトパッキンの交換時期です。
グラファイトパッキンを交換してやるだけで、バルブステムからの燃料漏れは完全に止めることができます。
特殊な工具は必要ないので、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
グラファイトパッキンの補修
バルブステムのグラファイトパッキンを交換するには、ストーブ本体からバルブステムをはずします。
バルブステムにはジェネレーターのクリーニングニードルがねじ込まれていますが、バルブステム固定ナットをはずすことでクリーニングニードルごと引き抜くことができます。
バルブステムの取り外しについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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グラファイトパッキンの交換時期
上の写真はクリーニングニードルをはずしたコールマン500のバルブステムです。
グラファイトパッキンはバルブステム固定ナットの内側にはめ込まれていて、一見しただけではナットと同化していてわからないかもしれません。
古いグラファイトパッキンは細いマイナスドライバーなどで砕いて、千枚通しなどを使ってネジ部の溝に入り込んだものも丁寧に掻き出してやる必要があります。
古いグラファイトパッキンを綺麗に取り除いてやると、新しいグラファイトパッキンとバルブステムの密着度が増し、耐久性も向上します。
バルブステムの内側をよく見てみましょう。
下の写真のようにグラファイトパッキンの存在がわからないほど痩せていたら、交換時期の目安です。
グラファイトパッキンのリプレースメント品
コールマン500のバルブステムに使われているグラファイトパッキンは小径サイズで、純正品番:216-620、もしくは216-6201が該当します。
純正品は現在も入手可能で、アマゾンや国内の専門ショップで販売されています。
グラファイトリボンやシートを使うと、必要な分だけ使用できるので安上がりです。
バルブステムを分解する
交換用グラファイトパッキンはそのままではステムに挿入できません。
ステムには上の写真にあるCリングが装着されていて、その下にある真鍮リングの下にグラファイトパッキンが挿入されています。
Cリングのはずし方は、細いマイナスドライバーでCリングの輪を広げて、下の写真のようにラジオペンチなどで抜き取ります。
バルブステムを分解してみて、古いグラファイトパッキンが壊れてないようであれば、新しいグラファイトパッキンを少し足してやるというのもひとつの手です。
グラファイトパッキンはカッター等で簡単に切断できますので、下の写真のように必要な分をステムに挿入するということもできます。
グラファイトパッキンを挿入する
上の写真のようにステムにグラファイトパッキンを挿入し、真鍮リング、Cリングの順に組み付けます。
ステムに装着されている真鍮リングですが、よく見てみてください。
下の写真のようにテーパーが切ってある面と平らな面があります。
テーパーが切ってある面をクリーニングニードル側に、平らな面をバルブハンドル側にして組み付けます。
下の写真のような順番になっているか確認してみてください。
ニードルを取り付けて組付ける
ジェネレーター整備のページで詳しくご紹介していますが、クリーニングニードルのネジ部にはスレッドコンパウンドを少量塗布しておくのがおすすめです。
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管理人は過去にクリーニングニードルをステムの根元からポッキリ折ってしまった経験があります。
状態の悪い500ストーブの場合、クリーニングニードルがステムに焼き付いていたりすることがよくあります。
500ストーブのクリーニングニードルはリプロ品が出ていますが、バルブステムは流通在庫のみの希少部品ですので、管理人のように根元からポッキリやってしまうとその個体が使い物にならなくなります。
グラファイトパッキン交換後の調整
グラファイトパッキンを交換したら、最初から強く締めこむのではなく、バルブから燃料が漏れてこない最小限の締め込みを意識します。
締めこめば締めこむほどグラファイトパッキンの寿命は短くなりますので、長持ちさせるには必要以上に締めこまないことです。
バルブステム組付け時、または組付け後でもいいですので、ステムとグラファイトパッキンが重なる部分に耐熱シリコンを塗布したやると、バルブノブの動きが軽くなるうえグラファイトパッキンの寿命も延びます。
今回整備したコールマンカナダ500
1947年製なので経年なりのペイントロスはありますが、タンク底のモデルスタンプもきれいに残っています。
コールマン500カナダの個体数は500 USAに比べて圧倒的に少なく、オークションでもなかなか出てきません。
鮮やかなパステルグリーンがフィールドに映えるのを想像しただけでワクワクします。