上の画像が何のパーツかすぐに分かったとしたら、かなりのファンネルフリークです。
直径が約5cm、素材はおそらく真鍮、反りがあるコールマンの純正パーツで日本円で1,000円ほど。
一般的に人気のあるビンテージランタンやストーブには使用しない、ある道具の交換部品です。
ヒントは先ほどの「ファンネルフリーク」、そうファンネル(漏斗)の金属製メッシュフィルターです。
ファンネルとは言っても、人気の200Aランタンなどに使うサイズではなく、下の写真のように馬鹿でかいファンネルになります。
上の写真右側の銅製No.0ファンネルが赤ちゃんのように見えますが、左のファンネルが1940~1960年代にかけて製造されたコールマン純正のNo.1Aです。
製造当時、養鶏場の大型ストーブや大型ランタン、芝刈り機、船外機等への給油用に販売されていたもので、ピンク色にアノダイズド加工(硬質アルマイト加工)されたバージョンも存在します。
No.1Aの「A」はおそらく素材のアルミを指し、No.1A以前は下の写真のように銅製のNo.1ファンネルが作られていました。
今回、はるばる海を越えて私のもとにやってきたのは、ジャンクとして売られていたNo.1A。
洗ってみたらびっくり、ロゴの下にTRONTO CANADAの文字が!
とんだお宝ゲットとなりました。
細かなあたりキズやアルミ特有の変色はあったものの、丁寧にクリーニングして磨いてやると、そこそこいい感じのファンネルになりました。
ジャンクとして売られていたので当然ブルーフィルターは欠品していました。
No.1AファンネルにもNo.0と同じ仕様のアルミフレーム製ブルーフィルターが、もともとは付属していたはずです。
また、製造年代によっては下の写真のように、メタルメッシュフィルターが装着されているバージョンも存在します。
今回は、このNo.1Aファンネル用メタルメッシュフィルターを自作しようという試みです。
No.1Aファンネル用メタルメッシュフィルターのNOS(未使用長期保管品)をひとつ持っているので、このオリジナル部品をコピーして作ってみました。
材料は100均の茶こし
オリジナルのメタルメッシュフィルターは、上の写真下側のように湾曲しています。
なので、同じように加工するにはある程度柔らかい素材、オリジナルと同じ真鍮メッシュか銅メッシュあたりを選ぶ必要がありそうです。
お昼に食後のお茶を飲んでいて、ふと目に留まったのが急須の茶こし。
オリジナルメッシュフィルターの湾曲具合と重なるように見えました。
ステンレスメッシュの茶こしですが、適度に腰があり加工も楽そうです。
近所の100均に行って、下の写真のような大きめの茶こし(サイズ87mm)を買ってきました。
メッシュフィルター用に茶こしを採寸する
上の写真のように、100均の茶こしにオリジナルメッシュフィルターを重ねてみると・・・。
いいじゃないですか!
いい感じの湾曲がついていて、同サイズで切り出せばそのまま使えそうです。
上の写真のようにメッシュフィルターのNOSを茶こしに重ねて、外縁を赤鉛筆でなぞって採寸します。
赤鉛筆だとかなり色が薄いので、見づらければマジックなどを使うといいかと思います。
ただし、ボールペンを使うとペン先が一発で傷みます。
金属メッシュにボールペンを使って何本ダメにしてきたか・・・。
目の前にあると、つい使っちゃうんですよね。
フィルターの切り出し
茶こしはいわゆる金属メッシュ(網状の金属)なので、厚さの薄いものであれば一般のハサミで切れなくもないです。
ただ、切れ味が一気に落ちるので金属ばさみ、金切りばさみなど、金属を切るのに適したハサミを使いましょう。
ストーブやランタンのメンテナンスでは金属ばさみを使う機会はあまりありませんが、買うのであればしっかりしたものをおすすめします。
私は上の写真にも写っているSK11という万能ハサミを結構な頻度で使っていますが、切れ味が落ちることもなく、とても使いやすいです。
メッシュフィルターのフィッティング
上の写真左がオリジナル品、右が今回作成したコピー品です。
素材の色は違いますが、網目の荒さも同程度かと思います。
ステンレスメッシュなので朽ちることなく、ノーメンテでずっと使えるでしょう。
上の写真の上側が今回製作したもの、下がオリジナルのメッシュフィルターです。
ステンレスメッシュは柔らかい素材なので、いくらでも湾曲具合の調整はできます。
微調整はファンネル本体に装着してみて、緩いようであれば平らに、きついようであればより湾曲させる感じです。
下の写真が今回作成した100均茶こし製のNo.1Aファンネル用メタルメッシュフィルターです。
違和感なく装着できているんじゃないでしょうか。
この100均の茶こしを使ったメタルメッシュフィルターづくりは、No.0ファンネルにも応用できます。
1930~1940年代に作られたコールマン銅製No.0ファンネルには、下の写真のように取り外しできるメタルメッシュフィルターがついたバージョンがあります。
このバージョンのファンネルのメタルメッシュフィルターが欠品していた場合には、同じやり方でメッシュフィルターを作ることができます。
今回メタルメッシュフィルターを入れたカナダ製No.1Aファンネル、私はこれ以外に見たことがありません。
もう少し丁寧に磨いてからショップに掲載する予定です。
No.1Aファンネルは家庭用石油ストーブへの給油に使うぐらいしか用途がないような気もしますが、レアなファンネルなのでコレクション向きでもあります。
No.0アルミファンネルのNOS品を5個ほど入荷していますので、ぜひショップも覗いてみてください。