久々にホエーブスのマイコレクションの数を数えてみたのですが、いつの間にか74台ものホエーブスが家に埋もれていることが判明しました。
あまりに増えすぎてしまったコレクションを整理するため、最近はPhoebus 625や725をヤフオクに出品したりもしています。
先日、めでたくPhoebus 625旧旧型が旅立ったのですが、1週間ほどして出戻りすることになりました。
なんでも、内圧が上がるとタンクから燃料が漏れてくるらしいのです。
出品前には分解清掃、試験点火もしているので、いきなり燃料が漏れてくるようなことはないはずなのですが・・・。
タンクが鉄製というさびやすい素材でできているホエーブスの経年劣化のタイミングと、今回のオークション落札がたまたま重なってしまった可能性もあります。
返品不可での出品なので落札後の対応をする必要はないのですが、人に優しく自分にはさらに優しい性格のため、修理を引き受けることにしました。
ちなみに、ピンホールからの燃料漏れはまだ可愛いほうで、先日eBayで落札したコールマン500には商品説明にはなかったタンクの亀裂があり、下の写真のように燃料が駄々洩れです。
見事に悪徳セラーにしてやられました。
eBayでは基本「Sold as is」、つまり現状渡しということです。
これもどうやって直すかなぁ・・・。
タンクの錆取り
上の写真は修理のため送られてきたホエーブス625のタンク裏面です。
よく見ると、燃料がにじんだような跡があり、いくつかのピンホールがあるようにも見えます。
漏れるとすれば、おそらくココと踏んで、どのように修理をすべきか考えてみました。
耐熱塗料をタンクの裏面に厚めに塗るだけでも漏れは止まりそうな気もします。
ただ、タンクの内圧が高くなった時に耐えられるかどうか・・・。
内側からシーラーを塗布するのが強度的にも、作業的にも効率がよさそうです。
出品前にもタンク内の錆取りは行っているのですが、今回タンク内部にシール材を流し込むことから、再度錆取りを行うことにしました。
今回もビンテージランタンやストーブのタンク内の錆取りには定評のあるタンククリーナーを使いました。
タンクシーラー
問題はタンクのシール材。
ビンテージランタンやストーブのタンク内シール施工によく使われるのが、ワコーズのタンクライナーかPOR15。
いずれもバイクなどの燃料タンクの錆防止を目的としたシール剤で、前者がエポキシ系、後者がウレタン系です。
タンクライナーはドライヤーでの強制乾燥が可能で、施工後30分もすれば実用可能になるという優れものです。
主剤と硬化剤を8:2で混ぜて使うタイプなので、施工に必要な量だけ使用でき長期保管ができるのが個人的には便利だと思っています。
混合容器や余ったシーラーを抜き取る注射器など、施工に必要なすべてがそろっているのも親切です。
ただ、値段が張るのがちと厳しいです。
タンクライナーの半額程度で買えるのが、米国製のPOR15。
キタコ(KITACO)ブランドでも国内販売されていて、1回きりの施工ならタンクライナーよりPOR15でいいかなという気がします。
ただ、主材料がウレタンなのでホワイトガソリンや灯油といった燃料に侵されるといったことはないのですが、時間の経過とともに塗膜に縮みが発生することがあるため、耐久性ではタンクライナーに劣ります。
また、一度開栓すると再利用できないので、ランタンやストーブのタンク施工だと、かなりの量が無駄になるかと思います。
タンクライナー施工
先ほどのコールマン500のタンク修理にも使えそうなので、タンクシーラーとして今回はワコーズのタンクライナーを採用することにしました。
ヤフオクを覗いてみると、正規品がアマゾンよりも安く出品されているものもあり、今回は送料込み5,410円でタンクライナーをヤフオクでゲットしました。
1日早く見ていれば・・・という値段でメルカリにも出品されていましたので、タンクライナーの購入はアマゾン以外にも視野を広げてみるといいかもです。
マスキング
タンクライナー付属の説明書には詳細な作業手順が記載されているので、はじめてタンクライナーを使うという方でも大丈夫です。
エポキシ系タンクシーラーのタンクライナーは、主剤と硬化剤を混ぜた時から硬化が始まります。
そして完全に硬化すると、ほぼ剥がすことは不可能と考えたほうがいいです。
なので、混合した主剤と硬化剤を注入する燃料口のまわりなどはきっちりとマスキングすることが重要です。
万が一、タンクなどに付着してしまった場合には、シンナーやパーツクリーナー等ですぐにふき取らないと、永久に付着跡が残ることになります。
安全弁のマスキングも確実に
Phoebus 625には内圧が以上に高くなった際に圧力を逃がす安全弁があります。
タンクシーラーをタンク内にまんべんなくいきわたらせるために、タンクを回転させることになります。
その際、安全弁からタンクシーラーがあふれ出てこないよう、私は綿棒を突っ込んで穴をふさいでいます。
安全弁のねじ切りにタンクシーラーが付着して硬化してしまうと、安全弁がねじ込めなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
綿棒を突っ込んだまま乾燥させてしまうと、今度は綿棒が抜けなくなってしまいますので、乾燥させるときには綿棒は忘れずに抜くようにします。
主剤と硬化剤の混合
タンクライナーは主剤と硬化剤を8:2、つまり4:1で混合して使用します。
5Lタンクで必要な混合液が100mlなので、ホエーブス625のタンクなら50mlも要らないんじゃないかと思います。
ただ、付属の計量カップで測れる最低量が50mlなので、今回は主剤40ml、硬化剤10ml、計50mlの混合液を作りました。
泡が立たないよう、静かにタンクに注ぎ入れます。
燃料口をアルミテープでふさぐ
タンクライナーの説明書にもありますが、タンクの燃料口はアルミテープを使ってふさぐと取り回しが楽です。
混合液をタンクに注いだ後は、タンク内部全体にまんべんなくいきわたるよう、タンクを回転させたり、上下逆さにしたりします。
このとき、タンク内部で混合液が泡立たないよう、しずかに回転させることが重要です。
気泡がそのまま硬化してしまうと不完全な塗膜となってしまい、シール効果が薄れることにつながります。
余った混合液を抜き取る
タンクライナーをタンクに流し込んだ後は、不要な混合液を抜き取る作業が必須です。
抜き取る混合液の目安は、注入した混合液の半分以上、今回の場合だと25ml以上ということになります。
タンクを逆さにして抜けきらなかった混合液は付属の注射器で吸い出す予定でしたが、ホエーブス625の場合、注射器を使わなくても余った混合液はタンクを逆さにするだけで回収できると思います。
今回も燃料口のアルミテープを剥がした跡、タンクを逆さにして付属のカップに余った混合液を落としました。
40mlほどの混合液を回収できましたので、もっと少ない量を測れる計量カップを用意すれば、より少ない量の施工で済むと思います。
ドライヤーで強制乾燥
1200Wのドライヤーで20~30分乾燥させると、タンクライナーの施工は完了です。
自然乾燥させることもできますが、その場合96時間程度必要になります。
そんなに待てないですよね。
ダンボールで乾燥箱を作ってしまえば、その日のうちにホエーブスに火を入れることができます。
タンクライナーの説明書にも親切な図解がありますが、ドライヤーの挿入口と温風の逃げ道になる穴を開けるだけなので、スーパーなどで手に入るダンボールで十分です。
今回は近所のスーパーからもらってきたヤマザキビスケットのダンボールを加工して使いました。
お菓子の入ったダンボールって、お菓子が壊れないように頑丈に作ってあるんですよ。
1点注意が必要なのは、20~30分間ドライヤーを動かし続けるので、万が一の発火に気をつけましょう。
ドライヤーで強制乾燥している間は、その場を離れないほうがいいと思います。
この辺りも説明書にしっかり記載があり、ワコーズという会社のすばらしさを感じます。
ピンホールの修理完了
今回は30分間の強制乾燥でタンクライナーを施工してみました。
ホエーブスの燃料口からタンクの底を竹串でつついてみると、すでにカッチカチのツルツルに固まっていました。
施工終了から30分待たずに、タンクにケロシンを注入、点火してみました。
無事に燃料タンクからの漏れが止まったことを確認できました。
Phoebus 625のタンクからの燃料漏れでお困りの方は参考にされてみてください。
今回の作業
・タンクシーラー:ワコーズタンクライナー
・混合液50ml:主剤40ml、硬化剤10ml
・乾燥時間:30分
・作業時間:1時間
・材料費:5,410円