上の写真はコールマン500のクリーニングニードル、純正品番500-251。
「おや?」と違和感を感じた方は素晴らしいです。
ニードル先端のクリーニングワイヤーが欠損しています。
コールマン500用のクリーニングニードルは、単体ではまず出てこない希少な廃盤部品です。
米国のパーツショップでリプロ品は入手可能ですが、純正品の素材が鉄であるのに対して、リプロ品は真鍮製です。
素材はどちらでも機能的には変わらないと思いますが、オリジナルの状態にこだわるなら鉄製の純正部品を使いたいところ。
eBayに即決価格で出品されていたものを入手できたのですが、日本に届いた時にはニードル先端のクリーニングワイヤーがなくなっていました。
今回はクリーニングニードルのワイヤー修理事例をご紹介します。
破損の原因は転送業者の検品か?
上の写真はeBayから米国の転送業者に入庫した際の確認画像。
赤丸で囲った部分に、先の曲がったクリーニングニードルのワイヤーが写っています。
そもそもクリーニングニードルをパッケージからはずして検品する必要があったのか・・・。
セラーがそんな状態で発送するはずがないので、転送業者の検品時に破損してしまったものと思われます。
せめて元のパッケージに戻してくれていれば、修正可能な状態で日本まで届いたかもしれません。
細いデリケートな針を、むき出しのまま封筒に入れて国際輸送したらどうなるか・・・。
簡単に想像できるはずですが、海外の転送業者なんてそんなものと思うしかありません。
封筒の中にクリーニングワイヤー発見!
コールマン500のジェネレーターニードル先端についているクリーニングワイヤーはかなり頑丈です。
もしやと思い封筒内を探してみると、上の写真のように折れたクリーニングワイヤーが見つかりました。
本来は下の写真のように、ジェネレーターニードルの先端にカシメてあるものです。
修理方法を考える
ジェネレーターニードル側に残った、折れたクリーニングワイヤーを引き抜くことができれば、新たに代替ワイヤーを作成して挿入することが可能になります。
今回は残念ながら折れたクリーニングワイヤーを引き抜くことができませんでした。
ジェネレーターニードル側にクリーニングワイヤーが差し込めるよう、0.3mmほどの穴を開け直すのは難易度が高そうです。
封筒内に残っていた折れたクリーニングワイヤーがあるので、今回は折れた部品を再利用して修理することにしました。
クリーニングワイヤーをニードルにロウ付けする
上の写真のように治具を使って、クリーニングワイヤーをニードルにロウ付けします。
ロウが流れすぎないよう、クリーニングワイヤーの根元とニードル先端をピンポイントで加熱したかったので、今回はプリンス製のガストーチGB-2001を使いました。
下の写真のように、大体ニードルのセンターにクリーニングワイヤーがロウ付けできればベストです。
動作を確認する
上の写真はロウ付け修理したクリーニングワイヤーをジェネレーターに組み込んだもの。
ニードルを動かしてクリーニングワイヤーとして機能するかを確認します。
以下の動画は今回修理した部品を、整備中の1940年製コールマン500カナダに装着して燃焼テストしたものです。
ロウ付け作業は道具や環境が必要なので万人向けではないですが、破損した部品が再利用できるケースは多いです。
コールマン社から修理不可で返送されてお困りの場合など、ご相談いただければと思います。