ストーブ

コールマン500のフューエルチューブ二重管のロウ付け再生修理

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コールマン500

コールマンシングルバーナーの原点ともいえるモデル500スピードマスター。

でかくて重いのでソロキャンや登山には向きませんが、キャンプやBBQでの使い勝手は最高です。

真鍮タンクにクロームメッキ加工が施されるなど、今では考えられないほどの手をかけた作りになっています。

コールマン500はホエーブスと並んで管理人がもっとも愛するストーブのひとつです。

日々メンテナンスに勤しんでいると度々難しい問題に直面しますが、今回は保管状態の悪かった個体にありがちなフューエルチューブの二重管修理事例をご紹介します。

コールマン500のフューエルチューブ

コールマン500のフューエルチューブ

上の写真はコールマン500スピードマスターのフューエルチューブ。

正確にはFuel and Air Tubeという部品で、モデル500にはコールマン品番:412-6461が使われています。

互換部品として品番:425-6461も使えます。

フューエルチューブは滅多に交換が必要になる部品ではありませんが、保管状態の悪いUsed品の中にはフューエルチューブが使い物にならなくなっているものもあります。

管理人が海外から入手したスピードマスターの中に、フューエルチューブ二重管の内側のチューブが折れていたものがありました。

外側のチューブはナット部にカシメて装着されているので、小さなマイナスドライバーなどでカシメをはずしてやるとナット部から分離できます。

外側のチューブをはずしてみると、下の写真のように二重管の内側のチューブがネジ部から破断していました。

破損したフューエルチューブ

フューエルチューブは分解できない構造なので、修理時はなかなかお目にかかれない内部の仕組みを知るいい機会でもあります。

破損したフューエルチューブ

破損したフューエルチューブ

破損したフューエルチューブ

破損したフューエルチューブ

二重管の内側のチューブをナット部に再挿入できれば、フューエルチューブとして使用できるはずです。

今回は内側のチューブに残ったネジ部が短いため、耐熱ボンドとロウ付けの併用を検討しました。

 

フューエルチューブの修理

今回の作業の流れは以下の通りです。

  1. フューエルチューブナット部をドリルで加工する。
  2. ナット部に二重管の内側のチューブを差し込む。
  3. 内側のチューブをロウ付けする。
  4. 外側のチューブを耐熱ボンドで接着する。

 

フューエルチューブナット部をドリルで加工する

ドリルで加工する

フューエルチューブ二重管の内側のチューブ径は約3.2mm。

先端にネジが切ってあるため、キツキツでねじ込めるよう3.0mmのドリル径としました。

上の写真のようにソフトタッチプライヤーを使うと、部品に傷をつけることなく作業できます。

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フューエルチューブ二重管の内側のチューブが差し込めれば十分なので、下の写真のような浅い穴あけ加工になります。

浅い穴あけ加工

 

ナット部に二重管の内側のチューブを差し込む

フューエルチューブのロウ付け

ドリルで広げた穴に、二重管の内側のチューブを上の写真のように差し込んでみます。

内側のチューブはもともとはナット部にねじ込まれているのみですが、今回はネジ部が短いため、ロウ付けすることにしました。

ロウ付けの道具がない場合には、耐熱ボンドでもいいかと思います。

フューエルチューブは燃焼時も高温にさらされるわけではないので、わざわざ内側のチューブのロウ付けのためだけに道具を揃える必要はないでしょう。

管理人がストーブの修理でよく使うのが、260℃ほどの温度に耐えられるJBウェルドというエポキシ系の耐熱ボンドです。

今回もフューエルチューブ外側のチューブ接着に使用します。

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内側のチューブをロウ付けする

内側のチューブをロウ付けする

上の写真は内側のフューエルチューブをナット部にロウ付けしたもの。

内側のフューエルチューブは、もともとが細い真鍮菅にネジが切られて挿入されているだけなので、朽ちて破損しやすい箇所ではありそうです。

再度十分にネジを切り直すことができれば、ロウ付けも耐熱ボンドも必要ないでしょう。

今回はネジを切り直すだけの長さがなかったため、ナット部に差し込んだチューブをロウ付けしました。

下の写真はロウ付け直後の状態で、この後余分なロウやフラックスを除去します。

ロウ付け直後の状態

 

外側のチューブを耐熱ボンドで接着する

上の写真は外側のチューブを内側のチューブにかぶせて、JBウェルドで接着したもの。

本来はナット部に外側のチューブをカシメるための素材があるのですが、再度カシメるだけの強度がないと思われるため、耐熱ボンドでの接着としました。

「外側のチューブもロウ付けがいいのでは?」と思うかもしれませんが、下の写真の赤丸で囲んだエアインテークポートにロウが流れてしまうと、フューエルチューブとして機能しなくなります。

エアインテークポート

外側のチューブがナットに固定できればいいだけで、さほど耐熱性も強度も必要ないので、JBウェルドなどの耐熱ボンドで事足ります。

 

フューエルチューブ修理完了品

フューエルチューブ修理完了品

上の写真は今回修理したフューエルチューブをアセンブリーとして組んだもの。

コールマン品番でいうと、500-6571のパーツです。

モデル500用のパーツは国内外ともに枯渇状態で、このバルブアセンブリー500-6571も、なかなかオークション等にも出てきません。

ショップにも「壊れた部品は捨ててしまった。」というお話をよくいただくのですが、部分的に使えたり、今回のように修理可能なものも多いです。

最近はモデル400など、2レバーストーブの黒レバー破損修理のご依頼が増えています。

コールマンで修理を断られた場合など、内容によってはショップにて修理をお請けしていますので、実機の状態等お知らせいただければと思います。

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