オールドコールマンを入手すると、特に気になるのが燃料タンクの状態。
管理人の大好きなモデル500スピードマスターの初期型などは、タンクのほとんどが真鍮製でありながら、底が鉄の素材でできていたりします。
せっかくなら全部真鍮で作ってくれたらよかったのに・・・と思うのは、きっと管理人だけではないはずです。
燃料タンク全体を真鍮素材で作るのには、加工のしやすさ、強度等の絡みがあったのでしょう。
タンクが鉄でできているオールドコールマンにとって、錆の進行状態は大事なチェック項目です。
その燃料タンク内の錆をチェックしようとしたら、思わぬお土産が入っていたなんて経験をお持ちの方も多いんじゃないかと思います。
朽ちて錆びたボルトやナット、タンク自体の錆がボロボロ出てくるなんてのは全然普通です。
得体のしれない虫、何かの動物の毛、「なぜタンクの中に?」と首をかしげたくなるようなものが燃料タンクの中からごっそりと出てくることもあります。
例を挙げればきりがないのですが、先日整備したモデル500と222Bのタンク内異物取り出し事例をご紹介します。
モデル500スピードマスターのタンクから出てきたもの
何が目的でこんなもの入れたんだろう・・・。
特に海外から購入したランタンやストーブの燃料タンクには、意味不明の異物、もはやごみと言ってもいいようなものが入っていることがよくあります。
タンクを振るとチェックバルブのボールがカチカチいうのは特徴的な音なので、すぐにわかると思います。
「シャリシャリ」「ジャラジャラ」系の音は、多くの場合タンク内に溜まった錆の音。
それ以外の何かがタンクの中で動いている音、これが取り出しに苦労する厄介なものであることも・・・。
ナットやボルトなどであれば、ランタンやストーブのタンク内に入れたまま使用を続けても特に悪さをすることはないでしょう。
しかし、燃料に侵されるものや細かく砕ける可能性のあるものは、フューエルチューブを詰まらせる原因になります。
そもそも、タンクの中に異物があるままランタンやストーブを使用するのは気分がよくありませんよね。
できれば、取り出しておきたいものです。
紙やティッシュペーパー
上の写真はコールマン500タンクのフューエルチューブ挿入部です。
穴から取り出しているのは、錆の色が浸透した燃料を吸い取ったとみられる筒状に丸まった紙片です。
ピンセットやピックアップツールが入る場所ではなかったため、竹串に接着剤を塗布して紙片を引っ張り出しました。
なぜ燃料タンクの中に紙片が・・・?
ひとつ思い当たるのは、eBayなど海外からオールドコールマンを入手する際にセラーに送る取引時のメッセージ。
航空機へ積載して国際輸送をするため、ランタンやストーブの残留燃料を確実に抜いてもらう必要があります。
なので、以下のようなメッセージをセラーに取引時に送っています。
Please be sure the fount is emptied of all fuel before shipping out due to international shipping.
ランタンやストーブの燃料キャップをはずして、逆さにして抜けるだけの燃料を抜いてくれればいいのですが・・・。
このような状態でタンクを送ってくるセラーは、おそらく室内で燃料抜きの作業をしていて、抜いた燃料を捨てる場所がなく紙片に吸収させるという方法を取っているのではないかと推察します。
その際、給油口から挿入した紙片がちぎれてタンク内部に残るのではないかと思われます。
紙片など比較的取り出しやすいものであればいいのですが、管理人はキッチンペーパー、ティッシュペーパー、女性用生理用品と思われるものをタンク内から取り出した経験があります。
コルク片
上の写真はコールマン500の燃料タンクから取り出したコルク片。
大きさはワインコルクの半分ほどありました。
タンク内に入れることすら苦労しそうな大きさのコルク片が、いったいなぜ入っていたのか・・・。
考えても無駄のような気がして、取り出す方法を考えました。
給油口やフューエルチューブ挿入部は、径が小さすぎてコルク片そのままでは取り出せない大きさです。
なので、ピックアップツールやピンセット等、コルク片をそのままつかんで取り出すことは不可能です。
なんとかタンク内部でコルク片を細かく砕いて、給油口かフューエルチューブ挿入部に通る大きさにする必要があります。
コルク片をタンク内部で動かないよう千枚通しを差して押さえつけ、細いマイナスドライバーで細かく砕いていくという地味な作業をしました。
コルク片がフューエルチューブ挿入部に通りそうな大きさになったら、下の写真のようにピンセットで取り出すという作業を繰り返していきます。
細いピンセットがなければ、タンク内部を覗きながら千枚通しを細かく砕いたコルク片に串刺しにして、ひとつひとつ取り出すという手もあります。
今回も一部のコルク片は、下の写真のように千枚通し串刺しで取り出しています。
222Bピークワンランタンのタンクから出てきたもの
上の写真はピークワンランタン222Bの燃料タンクから取り出し中の異物です。
燃料に溶けていないことから、おそらくキッチンペーパーの類ではないかと思います。
燃料タンク内の錆チェックで覗いた際に、何か大きなものが入っていることに気づきました。
幸いすぐにピンセットが届く位置に異物があったので簡単に取り出すことができました。
下の写真は222Bの燃料タンクから取り出した異物のサイズを測ったものです。
8~9cmほどある丸められたキッチンペーパーのようなものですが、燃料に溶けてしまうティッシュでなくてよかったです。
コールマン500の事例でもご紹介したのですが、タンク内の残留燃料を抜く代わりにキッチンペーパーに吸収させようと考えたのではないかと推察します。
海外のセラーからオールドコールマンを購入すると、このような状態で送られてくることはよくあることです。
慣習の違いと言ってしまえばそれまでですが、日本人の常識は通用しないと思っておいた方がいいですね。
燃料タンクの異物を取り出さないとどうなる?
ストーブやランタンのタンク内に入った異物すべてが悪さをするわけではありません。
タンク内の錆落としをしようと入れた洗浄用のナットやネジが取り出せなくなってしまったとしても、特にトラブルを引き起こすことはないでしょう。
ナットやネジがタンク内で動く音がする程度で、ストーブやランタンの燃焼に影響することはないです。
ただ、ナットやネジの錆がタンクに錆を呼ぶ原因にはなりえるので、洗浄用のナットやネジは鉄ではなくステンレス製のものをおすすめします。
燃料に溶けてしまうティッシュ、砕けてしまう虫の死骸など、フューエルチューブを詰まらせる可能性がある異物は燃料タンクから取り出す必要があります。
その他、ナットやネジなどフューエルチューブを詰まらせる可能性がない異物については、放置しておいても特に問題ないでしょう。
しかしながら、燃料タンクに異物が入ったまま使うというのは気分がよくないと思いますので、管理人はタンク内洗浄にはナットやネジは使わず、花咲かGなどのケミカルを使用しています。
燃料の抜きづらい400系ストーブのタンク内洗浄には、ナットやネジを使わないほうが無難です。